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病み情報社会
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病み情報社会

著者 金子義保
ジャンル 一般書 > 人文・哲学 > 社会
発行形態 書籍
発売日 2007/11/16
判型・ページ数 A5・416ページ
商品コード 9784403120206

価格4,180円(税込)

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内容説明
はじめに


第1部 病の蔓延

第一章 複雑系の情報と「病み情報」

1 病と医の歴史
古代と医学/中世と医学/人間性復興の時代と医学/自由平等と科学技術の時代と医療/持続可能な社会を求めて

2 複雑系の情報
生命体や社会は複雑系である/ヒトの遺伝情報(1)ゲノム情報(2)ヒト(新人)の個人差(3)非ゲノム的遺伝情報/環境情報/ゲノムと環境の相互作用(1)胎児プログラミング(2)臨界期(3)DNAのメチル化

3 病をもたらす遺伝情報
遺伝病をもたらすゲノム情報の異常――遺伝子変異/多因子病をもたらす遺伝素因――遺伝子多型

4 病をもたらす自然環境の情報
病原微生物(1)黒死病(ペスト)(2)天然痘(3)インフルエンザウイルス(4)エイズ(5)西ナイルウイルス(6)新型肺炎SARS(重症急性呼吸器症候群)(7)狂牛病(BSE)とヒトの変異型クロイツフェルト・ヤコブ病

5 病をもたらす社会情報
レベル3の社会の病み情報/レベル2の社会の病み情報/レベル1の社会の病み情報/病み情報の把握

第二章 病んだ社会情報がもたらす社原病

1 病み情報に基づく自己傷害と他者傷害

2 貧しさ病と豊かさ病
世界の危険因子/貧困は貧困と病と暴力を生み出す/喫煙/過食/飲酒/自動車事故

3 有害物質による環境と心身の破壊
公害という他者傷害(1)石油と石炭の利用(2)合成化学物質による病(3)環境ホルモン(4)ライスオイル事件のダイオキシン/日本の四大公害病(1)カドミウムによるイタイイタイ病(2)メチル水銀による水俣病と新潟水俣病(3)四日市喘息/大気汚染/地球温暖化/放射能

4 職業と関連する疾患
職業病と労災(1)労働災害(2)塵肺症(3)職業癌/作業関連疾患

5 狂気が生み出す究極の他者傷害
イデオロギー(1)人種的全体主義(2)階級的全体主義/戦争(1)戦争は多因子病(2)戦争の遺伝素因(3)環境因子(社会情報)(4)戦争がつくる心身の病(5)戦争の予防

第三章 ありふれた病・多因子病

1 心身の病を診る
実際の死因/実際の死因を生みだす病み情報/社会の病と心身の病の類似性

2 ゲノムと環境の相互作用がもたらす多因子病
遺伝素因/環境因子(1)胎児期の環境(2)幼児期の環境(3)成人後の環境

3 多因子病と活性酸素
活性酸素を増す環境/活性酸素と病/病の予防


第2部 文明病各論

第四章 代謝系の病

1 代謝系の特徴
代謝系は複雑である

2 代謝症候群
遺伝素因(ゲノム情報)/環境因子(社会情報)/代謝症候群の発症機序/代謝症候群の治療

3 肥満
肥満の世界的な蔓延/脂肪細胞/肥満のゲノム情報(1)肥満遺伝子(2)肥満の遺伝素因(3)その他/肥満の環境因子/肥満がもたらす問題/肥満がもたらす問題/肥満の予防と治療(1)食事運動療法(2)薬物療法(3)手術

4 糖尿病
蔓延する2型糖尿病/2型糖尿病の遺伝素因/2型糖尿病発症を促進する環境因子/糖尿病発症のメカニズム(1)インスリン分泌能障害(2)インスリン抵抗性/糖尿病の治療(1)食事療法と運動療法(2)血糖降下薬(3)血糖降下薬と生活習慣改善の効果の比較(4)インスリン注射/糖尿病の組織障害や合併症(1)微少血管障害(2)大血管障害

5 高脂血症
家族性高脂血症/非家族性高コレステロール血症(1)遺伝素因(2)環境因子/高脂血症の合併症 冠動脈疾患、脳梗塞、末梢動脈疾患/高脂血症の治療(1)食事療法と運動療法(2)薬物療法/日本での大規模臨床研究 J-LIT 薬物療法の費用対効果比

第五章 血管系の病

1 心血管系の病の特徴 

2 高血圧
遺伝素因/環境因子 食事・塩分と高血圧/高血圧の合併症/高血圧の治療(1)食事運動療法・生活習慣の改善(2)薬物療法/高血圧診療ガイドライン

3 動脈硬化症
遺伝素因/環境因子/動脈硬化の機序/診断

4 虚血性心疾患
心筋梗塞/遺伝素因/環境因子/予防と治療(1)血栓溶解剤(2)経皮的冠動脈インターベンション(PCI)(3)バイパス手術(CABG)

5 脳卒中
脳卒中の罹患状況/遺伝素因/環境因子/予防と治療

第六章 癌

1 癌の罹患状況

2 発癌機序
細胞増殖とDNA修復エラー/活性酸素によるDNA損傷/癌の性質

3 癌の遺伝素因
遺伝性癌/散発性腫瘍の遺伝素因

4 環境因子
発癌物質(1)食品添加剤や調理法(2)タバコ(3)ディーゼル排気ガス(4)農薬その他/発癌微生物/放射能被曝

5 癌の診断

6 癌の予防と治療
癌の予防/癌の手術療法/抗癌剤(1)トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)(2)リツキシマブ(商品名リツキサン)(3)イマニチブ(商品名グリベック)(4)ゲフィチニブ(商品名イレッサ)/放射線/免疫療法

7 頻度の高い癌
肺癌(1)診断(2)予防と治療/胃癌/大腸癌/肝癌/膵臓癌/乳癌/子宮頚癌/前立腺癌

第七章 免疫アレルギー疾患

1 複雑系としての免疫系

2 アレルギーとその罹患状況、機序、治療
発症機序/遺伝素因/環境因子/アレルギーの治療

3 高頻度アレルギー疾患
アトピー性皮膚炎/アレルギー性鼻炎、花粉症/気管支喘息/化学物質過敏症(1)シックハウス症候群(2)シックスクール症候群

第八章 精神疾患

1 脳神経系は典型的な複雑系である

2 精神疾患への罹患状況

3 遺伝と環境
遺伝素因/環境因子(1)ストレス(2)化学物質

4 多頻度精神疾患
うつ病(1)遺伝素因(2)環境因子(3)うつ病の治療/不安障害(1)心的外傷後障害(PTSD)(2)パニック障害(3)慢性疼痛/統合失調症(1)診断(2)発症機序(3)遺伝素因(4)環境因子(5)統合失調症の薬物治療(6)入院治療/認知症(1)遺伝素因(2)環境因子(3)予防と治療/依存症(1)遺伝素因(2)環境因子(3)治療(4)アルコール依存症(5)ニコチン依存症


第3部 病は減らせるか

第九章 医療における病み情報と医原病

1 医療ゲーム
患者(1)医療への依存(2)病に罹ったとき(3)死との関わり合い/医者(1)医学教育(2)医師の病(3)揺らぐ倫理(4)論文偏重/病院/製薬企業/国家(1)産官学協同路線(2)健康日本

2 ゲームの均衡状態としての諸問題
過剰診療/過少診療/医原病と医療過誤

3 薬と薬害
多すぎる薬(1)必須薬剤・エッセンシャルドラッグ(2)効かない薬/薬害/薬害の具体例(1)スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS、皮膚粘膜眼症候群)(2)フェンホルミン(3)キノフォルム(4)クロロキン(5)サリドマイド(6)集団予防注射や輸血などによる肝炎(7)フィブリノゲンによるC型肝炎(8)薬害エイズ(9)ソリブジン(商品名ユースビル)(10)非ステロイド系解熱鎮痛剤(NSAIDs)(11)チクロジビン(商品名パナルジン)(12)エダラボン(商品名ラジカット)(13)乾燥硬膜によるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)(14)スタチン系の横紋筋融解症(15)抗癌剤ゲフィチニブ(商品名イレッサ)

4 根拠不十分の医療
梅毒の水銀治療/ハンセン病の強制隔離政策/ロボトミー/ホルモン補充療法(HRT)/精神分析――記憶の回復

5 人体実験
日本の軍学共同体(1)七三一部隊の人体実験(2)大学病院の人体実験/ナチスの場合/アメリカの軍学共同体/アメリカ・アラバマ州タスキーギの人体実験/現代型人体実験

6 医療情報の不透明性

7 予防医学の重要性

第十章 科学による病み情報の修正とその限界

1 分子生物学と生命科学によるゲノム情報の修正
遺伝子診断/遺伝子治療/命の選択/命の文化/臓器移植/臓器再生/クローン人間(1)ヒトクローンづくりを推進する論理(2)ヒトクローン反対の理由/生命体の創造(1)生殖細胞の遺伝子操作(2)人工生命体

2 統計的証拠による病み情報の修正
臨床疫学と証拠に基づく医療(EBM)(1)相対リスクと絶対リスク(2)バイアス(3)クリニカルガイドライン(CG)/臨床疫学が明らかにする健康情報と病み情報(1)長寿(2)危険因子(3)食事療法(4)薬物療法(5)サプリメントなど(6)適度の運動(7)数字の限界

3 個人の主観的合理的選択とその修正
利益の最大化という合理性/主観的選択の合理性

4 社会情報による拘束とその修正
情報のネットワーク/世界を動かす金融資本のネットワーク/新たな情報空間

5 地球環境の無限概念を修正する
資源は有限である/ガイア理論と地球医学/地球という人間の肥育場/フットプリントという指標

6 複雑系の理解と脳による病み情報の修正
複雑系の特徴(1)カオス(2)創発(3)自己組織化(4)適応/脳の科学/脳には意識と無意識がある/脳は模倣する/脳は錯覚する/脳の正しさと誤りやすさについて/脳と社会の発展の乖離と生き残り遺伝子/脳の可塑性と病み情報の修正

おわりに
索引